幻想神秘音楽館

プログレッシヴ&ユーロ・ロックという名の夢幻の迷宮世界へようこそ…。暫し時を忘れ現実世界から離れて幻想と抒情の響宴をお楽しみ下さい。

一生逸品 PANTHÉON

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 10月も終盤を迎え、いよいよ待望の芸術の秋…プログレッシヴの秋が迎えられるのかと思いきや、いきなり予期せぬ寒波に見舞われ、あたかも晩秋或いは初冬を思わせる曇天の冬空に見舞われてしまい、とんだ想定外で時期外れな冬支度に右往左往しているさ中、皆様如何お過ごしでしょうか。

 そんな冬将軍の足音が日に々々感じられつつある今月お送りする「一生逸品」は、昨今大いに話題を呼んだオリオン座流星群に呼応するかの如く、偶然というかあまりにタイムリーな出来事に引き寄せられる様に、70年代のオランダが生んだ=通称ダッチ・プログレッシヴがまさに熱気を帯びていた時代、かのギリシャ神話に登場のオリオンをモチーフにした唯一作を遺し、その独創性溢れるオリジナリティーと音楽性で今なお伝説的神格で称賛されている“パンテオン”に、今一度栄光のスポットライトを当ててみたいと思います。

PANTHÉON/Orion(1972)
  1.Orion        
  2.Daybreak        
  3.Anaïs     
  4.Apocalyps          
  5.The Madman  
  
  Albert Veldkamp:G, B
  Ruud Woutersen:Key, Vo
  Hans Boer:Flute, Sax, Vo
  Rob Verhoeven:Ds, Per

 海峡に隔てられながらも、あたかもまるで水の無い地続きすら錯覚させる様な、かの大英帝国のブリティッシュ・ロックとオランダ産ダッチポップスとの関係性。
 自分自身が物心付いた幼少の頃には、既にテレビ画面からショッキングブルーの名曲「ヴィーナス」が流れていた事を鮮明に記憶し、友達との遊びに夢中で音楽なんて一切の興味を示さなかった小学生の時分には、フォーカスが「悪魔の呪文 (Hocus Pocus)」の空前の大ヒットで世界的な大成功と名声を手中に収めていた70年代、名実共にユーロロックが世間に認知される以前からオランダのダッチ・ロック&ポップスは英米のミュージックチャートにさり気なく (と言うには些か語弊はあるが) 溶け込み上手く紛れ込む事で世に躍り出たと言っても過言ではあるまい。
 世界進出に成功した前出の2バンドに続けとばかりアース&ファイアー、エクセプションそして後のトレース、フィンチ、カヤックといった70年代ダッチ・プログレッシヴシーンを彩った精鋭達が注視される片やその一方で、イギリスのカンタベリー系に触発されたスーパー・シスターにソリューションといったジャズロックが輩出された事も忘れてはなるまい。
 そんな百花繚乱の様相を呈していた70年代プログレッシヴ・ムーヴメント一色のオランダのシーンに於いて、成功を夢見つつ栄光を追いかけながらも僅かな短い活動年数で、たった一枚のアルバムを世に遺して表舞台から静かに去っていった類稀なる存在達も無きにしも非ずである。
 今回本篇の主人公でもある、神殿という意の神々しくも荘厳なイメージを想起させるバンド名パンテオンを冠した4人の若者達、彼等もまた自国の大御所フォーカスやスーパー・シスター、ソリューションに触発影響されて世に躍り出た次第であるが、1971年のバンド結成当時に於いて…俗に言うまだまだ青臭い二十歳前後のティーンエイジャーで、高校時代に組んだ学生バンドから派生した (言い方は悪いが) 所謂生意気盛りな一介の若造達であったそうな。
 アムステルダムで開催された数々のミュージック・フェスティヴァルで多くの音楽経験を積み、そのヴァラエティーに富んだ独創性と非凡な才能が瞬く間に注目を集め、若くしてオランダ・フォノグラムと契約を結び、1972年デヴューシングル「I Want To know/Masturbation」(B面の曲タイトル、何とかならんか) をリリース。
          
 デヴューシングルのセールスが上向きになるに伴い、メディア各方面がこぞって彼等に着目し、同時期フォーカスを始めとする飛ぶ鳥をも落とす勢いのバンドやアーティスト達との共演・前座を務めつつ基盤の地固めに躍起になっていた頃、同年ヴァーティゴから2ndシングルで後に最初で最後のアルバムにも収録される「Daybreak/Anaïs」をリリース。
 この2ndシングルがオランダ国内のテレビやラジオで大々的に取り上げられ、スーパー・シスターやソリューションに次ぐ有望株と称賛されたのを機に、彼等は同年ヴァーティゴから最初で最後のアルバム唯一作『Orion』を世に送り出す事となる。

 オープニングを飾るはアルバムタイトルにもなっている19分超の大曲で、いきなり壊れかかった調子の悪いオルゴールをも彷彿とさせるチェレステ、フルートにハモンドとコーラスが被さる格調高くもどこかユニークなイントロダクションに導かれ、ドラマティックなサックスが切り込んでくるや否やシンフォニックでジャズィーな佇まいのユーロロックがリリカル且つエキセントリックに展開し、寄せては返す波の如く引きと押し、柔と剛、静と動といった対義同士がせめぎ合い、初期フォーカスの大作「Eruption」にも迫る勢いと言わんばかりな、深遠で怒涛なる星座と神話世界が聴き手の脳裏に壮大に繰り広げられること必至であろう。
    

 オリジナルアナログLP盤の旧A面丸々費やした大作を経て、旧B面では4つの小曲で占められた幾分小粒な印象は否めないものの、それでもA面の大曲の流れを汲んだであろう多才な趣向と展開が窺える秀作と佳作揃いである。
 明るめな曲調の「Daybreak」にあっては、如何にもといった感の…さながらひと昔前のNHKの教育テレビ (現Eテレ) の情報番組ないしラジオ放送向けに流しても何ら違和感を覚えないくらい、番組のオープニングにピッタリな作風で、クラシカルでアカデミックなハモンドとフルートに軽快なリズム隊とコーラスが堪能出来る好ナンバー。
 事実、80年代にオランダのラジオでオンエアされた曲名と同名の番組「DAYBREAK」のオープニングテーマで使用されたのも頷けよう。
          
 シングルとして先行リリースされながらもアルバム向けに5分近い長さで再録された「Anaïs」にあっては、室内楽的な序盤のフルートとアコギが印象的で、いつの間にかフォーカス影響下を意識した曲進行へと転調する小気味良さが絶妙ですらある。
 黙示録という何やらタダナラヌ雰囲気と印象を抱かせる10分強の長尺「Apocalyps」は「Orion」に負けず劣らずの力作で、暗さや重さといった陰鬱なテーマ感が微塵も感じられないくらいソフト且つ軽快なメロディーラインで占められながらも、ヴァーティゴレーベルらしさが如実に表れたブリティッシュ系オルガンロックばりのハモンド全開とジャズィーなエッセンス、果てはイエスをも意識した様なコーラスパートが顔を覗かせたりと、ヴァラエティー豊かで多岐に亘るバンドの音楽性と側面が存分に楽しめるのが実に微笑ましい。
          
 アルバムラストを飾る「The Madman」は、Ruud Woutersen奏でるキーボードを大々的にフィーチャリングした概ね1分弱な小曲で、Rob Verhoevenのドラムがバックに色を添える体のデュオスタイルが、まさしくラストに相応しい…印象的で何とも意外なアッサリ感も拭えない不思議な余韻を残す名曲 (迷曲) といったところだろうか(苦笑)。
 ちなみに本作はバンド解散後から25年後の1999年、一度粗悪な音源によるブートレグ紛いなCDリイシュー化を果たしているが、21世紀を迎えた2001年漸く正式な形でリマスターが施された正規のリイシューCD (シングル用3曲がボーナストラックとして収録された) がリリースに至った次第で、理由は定かではないが旧A面と旧B面が入れ替わった曲順でオープニングが「Daybreak」で5曲目が「Orion」という構成で変更されている。

 デヴューアルバムのセールス並びライヴの評判も上々で、まさに世の春を謳歌するかの如く順風満帆で意気揚々とした状況下でありながらも、やはり青二才らしい未熟で若さ故の誤った考え方とでもいうのだろうか…レコード会社とバンドサイドとの思惑の相違に加え、運営面で折り合いが悪く何かと衝突していたであろう、その溜まりに溜まった鬱積とでもいうのか全てに於いて丸投げ (匙を投げた) をした会社がパンテオンに対し全面的に支援を止めた事がきっかけで、結局新作並び新曲製作の機会を失った彼等パンテオンは徐々に活動意欲の低下と共に失速し、結果1974年バンド解散の憂き目に遭う事となる。
 余談ながらも、解散から数年後…かのトレースのRick Van Der Lindenの実弟でフォーカスの元メンバーだったPierreに声をかけてパンテオン再編を目論むも結局これは上手くいかず、再編話は空中分解と物別れで終わるものの、パンテオン自体は時折オリジナルメンバーが集まっては、同窓会ライヴよろしくとばかりに90年代初頭まで不定期に公演を行っていたとのことである。 
 バンドメンバーのその後の動向と消息にあっては、判っている範囲内で恐縮であるが…ギタリスト兼ベーシストのAlbert Veldkampはギター講師への道を歩み、キーボーダーのRuud Woutersenはレコーディング・スタジオのオーナーを兼ねて舞台と映画音楽のスコアをも手掛けるコンポーザーへと活路を見い出し、ドラマーのRob Verhoevenとフルート兼サックスのHans Boerの両者にあっては音楽とは全く無関係な業種の道を歩み、Robは広告代理店のオーナー、Hansは経営コンサルタントへと華麗な転身を遂げたそうな。
           

 こうしてパンテオンの物語は幕を下ろした次第であるが、彼等の名誉の為に断っておくが決して日本の芸能界やお笑い業界に付きものの…所詮は一発屋の類みたいな扱いだけは、どうかやめて頂きたいと願わんばかりである。
 バンド解散後においても、ヴァーティゴレーベルB級作品の極みなどと悪口陰口誹謗中傷と謂れ無き悪評で叩かれて不遇なる時代こそ送ったものの、やはり正真正銘彼等の作品の真価は紛れも無く揺らぐ事無く、今なお伝説の名を欲しいままにしているのが率直なところである。
 時代が悪かったとか運とツキに見放されたなんて安易な言葉で片付けたくもないし、正直なところ彼等の場合若さ故のタイミングの悪さとボタンを掛け違えただけの悲運だったと言わざるを得ないと思うのだが如何なものであろうか…。
 失礼ながらも老齢に差し掛かった彼等が、もはや21世紀のプログレッシヴ・シーンに再浮上する事は皆無に等しいと思うが、それでも一縷の望みを託して…ある程度の期待と希望だけは持ち続けたいものであると信じて止まない。

      “なあ、また久し振りに演らないか!”

 そんな鶴のひと声の如き彼等の復帰第一声を、昨今のオリオン座流星群に願いを託し、冬の夜空を彩り神々しく光り輝き続けるオリオン座の瞬きに更なる思いを重ねたいものである。

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Monthly Prog Notes -October-

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 10月最後の「Monthly Prog Notes」をお届けします。

 炎の如く色付き萌える紅葉に晩秋の雰囲気を覚えつつも、初冬の足音が日に々々感じられる様になった今日この頃、まさしく芸術の秋=プログレッシヴ・ロックの秋という時節柄に相応しい強力ラインナップ3バンドが今回も出揃いました。
 2年前にデヴューを飾って以降、年一枚のペースでコンスタンスに新作をリリースし絶大なる不動の評価を得ている、スウェーデンにカナダ、そしてアメリカのミュージシャン達による国境を越えた混成メンバーによる“プロポーションズ”、数えること通算第3作目の新譜が到着しました。
 シンフォニック始めジャズロックの素養とスキルが徹頭徹尾存分に活かされ、英国と欧州の詩情とリリシズムを湛えた各々異なるカラーのゲストヴォーカルを迎えた、彼等の全作品に於いて必聴必至…最高にして至高の完成度を誇っています。
 イタリアからは強力ニューカマー2バンドがお目見えとなりました。
 かのオルメに触発され彼等のトリビュートバンドを経て90年代に結成されつつも、アルバムをリリースする機会に恵まれず、度重なるメンバーチェンジと紆余曲折を経て、漸く2021年に満を持して待望のデヴューと相成った通称G.A.Sこと“グルッポ・オートノモ・スオーナトリ”。
 アートワークの意匠始めイタリア特有の(良い意味で)長ったらしいバンドネーミングに、70年代イズムを踏襲した正真正銘の伝統的で正統派の王道を地で行くイタリアン・ロックの醍醐味がここにあります。
 片やもう一方のイタリアン・ニューカマーでもある“プレニルニオ”、彼等もまた先のG.A.Sと同様、70年代にバンドが結成されながらもアルバムリリースの機会に恵まれず一度は解散の憂き目に遭いつつも、交友のあったロカンダ・デッレ・ファーテからの後押しで近年オリジナルメンバーが集結しバンドが再編され漸く待望のデヴューを飾る事となった次第ですが、長年培われた音楽経験と技量、力量、コンポーズ能力を兼ね備えたであろう、もはやベテランの域ともいえる彼等もまた正統派イタリアン・ロックの王道を歩む継承者と言っても過言ではありません。
 三者三様の音楽世界が築かれ謳い綴られる秋の夜長を、浪漫と抒情に浸りつつ美酒を味わい酔いしれながら、暫しの間現実から遊離して頂けたら幸いです…。

1.PROPORTIONSAfter All These Years
  (from MULTI-NATIONAL)
  
 1.Hymn For The Giant/2.Birth/3.Octyldodecanol/
 4.Fading Away/5.Qubix Cube/6.La Froi/
 7.The Confession/8.Jesterdays/9.Eriksberg/
 10.Overhinged/11.Calophork/12.Soulmate/
 13.After All These Years/14.Hymn For The Giant (Reprise)

 2019年、サイケな極彩色に彩られた意匠の『Reboot』でセンセーショナルなデヴューを飾って以降、翌2020年またしても毒々しいサイケカラーな異星人の眼差しという意匠の2nd『Visions From A Distant Past』と、文字通り一年に一枚のコンスタンスなペースで歩みを止めること無く、着実に唯一無比で且つ孤高なる音世界を築き上げて今日までに至る、北欧と北米の実力派ミュージシャン達による混成バンドでありつつも、各国にも点在するであろう幾数多もの同系バンドの理想形にして頂点となった感のプロポーションズ、本作は今年リリースされたばかりの通算3作目に当たる新譜である。
 サイケで摩訶不思議、尚且つネイチャーな趣すら窺わせる今作にあっては、デヴュー時と前作をも遥かに上回るくらい徹頭徹尾驚きと感動とリリシズムに色濃く染め上げており、シンフォニックさとジャズィーな表情と側面をバランス良く使い分けたエモーショナルさと相まって、ヴォーカルとコーラスパート入りのナンバーではそれぞれ異なった世界観を見事に謳い上げる男女ゲストヴォーカリストの好演が際立っていて、作品全体にドラマティックな光彩と煌きを与えているかの様である。
 パイプオルガン風なイントロダクションに導かれ、あれよあれよという間にいつしか彼等の音楽の術中に嵌まってしまい、ハケットやキャメルをも彷彿させる甘美でミスティックなメロディーラインに、クリムゾン風なリフの刻み方、果てはGG、ハッピー・ザ・マンやケンソーの面影すらオーヴァーラップしてきそうな概ね60分以上に亘るサウンド&マインドの旅(トリップ)に、息つく暇や感動の余韻に浸ることすら忘れてしまうくらいの満ち足りた充実感が約束出来よう。
 北欧とカナダのインテリジェントなクールさと、アメリカの持つムーディーなイマジナリーとが互いに違和感無くコンバインし、2021年大きな軌跡として残るべく会心の一枚へとなり得るであろう。
          

Facebook Proportions
https://www.facebook.com/Proportions-2195011314103834

2.GRUPPO AUTONOMO SUONATORI
  /Omnia Sunt Communia
  (from ITALY)
  
 1.Alice Spring/2.La Regina a)Il Sogno / b)La Regina
 3.Preludio I/4.Preludio II/5.Il Sacco Di Bisanzio/
 6.Beatrice a)Intro / b)Beatrice / c)Beatrice pt.II
 7.Il Richiamo Della Sirena/8.Omnia Sunt Communia

 もう如何にもといった感の…良い意味で70年代イタリアン・ロックイズム影響下丸出しな、久しく忘れかけていたであろうイタリアの田舎町の風景を切り取った様な (バンコの名作3rdをも連想させる) そんな感じの意匠に、懐旧な思いすら脳裏を駆け巡ってしまいそうなデヴュー作を引っ提げて、21世紀イタリアン・ロックシーンに颯爽と躍り出た期待の新星、通称G.A.Sことグルッポ・オートノモ・スオーナトリ
 70年代イタリアンによく見受けられがちな長ったらしいバンドネーミングといった、ファンやリスナーの心をもくすぐる細部なこだわり (アナログLP盤に針を落とした独特のプチプチ音のSEに至るまで、そこまでやるかというくらいに…) も然る事ながら、バンドの中心人物でもありリーダーをも兼ねるClaudio Barone自身、オルメのトリビュート・バンド等で培われた音楽経験が端緒となって1997年にバンドを結成して以降、アルバムリリースの機会になかなか恵まれないまま20年以上にも及ぶ演奏活動で場数をこなしてきただけに、漸く満を持してのデヴューアルバムへと辿り着いた万感の思いというか…本作に懸ける意気込みと気合の入り方が、そんじょそこらのポッと出の若手新人とは雲泥の差を見せつける重みと凄みが作品全体に漲っているかの様ですらある。
 クラシカルでバロックな表情と、地中海を想起させるアコースティックな旋律、イタリア特有の土着的な陽と陰との対比、妖しげな闇の側面といった様々な要素が混在し内包された、文字通り時空と世紀をも超越した決定版と言っても過言ではあるまい。
 御大のオルメ始めオザンナ、RRR、メタモルフォシ…等といった70年代バンドの系譜が脳内でオーヴァーラップすると共に、ウビ・マイオール、ノタベネ、シビコ23といった21世紀イタリアンをも凌駕する計り知れない実力とポテンシャルに、もはや70年代への愛情と憧憬をも越えた筆舌し尽くし難い驚愕と感嘆すら禁じ得ない。
          

Fasebook G.A.S
https://www.facebook.com/groups/gruppo.autonomo.suonatori

3.PLENILUNIOIl Gioco Imperfetto
  (from ITALY)
  
 1.L'aquilone/2.Il Gioco Imperfetto/3.Se Rinascerò/
 4.A Piedi Nudi/5.Diario Di Bordo/6.Voci Del Vento/
 7.Tutte Le Colpe Che Ho/8.Loro/9.Titoli Di Coda

 サイバーな電脳空間に竹馬で遊ぶ子供達が描かれた、何とも郷愁と童心に誘われそうな懐かしさと21世紀らしいイマジナリーが融合した意味深な意匠に包まれたアルバムで、念願で且つ待望のデヴューを飾ったプレニルニオ。 
 アートワークのイメージからしてサイバーパンクなエレクトリックミュージックないしメロディック・シンフォの類かと思いきや、かの伝統的なカンタウトーレ系にも相通ずる70年代歌物プログレッシヴ…強いて挙げればレアーレ・アカデミア・ディ・ムジカ始めロカンダ・デッレ・ファーテ、グルッポ2001、果てはオディッセアをも彷彿とさせる、心の琴線を揺さぶるアコースティックな佇まい、牧歌的でたおやかなイメージを伴った歌心に、地中海の微風或いは陽光の輝きと匂い、陰影を帯びた詩情と抒情が織り成す…といった、多くのイタリアン愛好者とリスナー諸氏が思い描くであろう正真正銘混じり気一切無しの限り無く純粋無垢な理想形ともいえるイタリアの伝承と“音”がここにある。
 70年代半ばにイタリア北西部ピエモンテ州にて結成されながらも、先に紹介したG.A.Sと同様彼等もアルバムリリースの機会に恵まれず夢破れて一度は解散への道を辿るものの、長年交流のあったロカンダ・デッレ・ファーテからの助言と後押しの甲斐あって、近年オリジナルメンバーが再集結し漸く陽の目を見る事となった次第である。
 哀愁とファンタジックに彩られたイタリアン・ロックもう一つの顔と表情が如実に表れた、まさしく万人のリスナーが愛して止まない、人生の機微…喜びと悲しみを物語る崇高で味わい深い一枚を是非貴方 (貴女) の心で受け止め心震わせて頂けたら幸いである…。
          

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