幻想神秘音楽館

プログレッシヴ&ユーロ・ロックという名の夢幻の迷宮世界へようこそ…。暫し時を忘れ現実世界から離れて幻想と抒情の響宴をお楽しみ下さい。

夢幻の楽師達 -Chapter 69-

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 新緑が眩しく映え風薫る初夏の5月も終盤を迎え、季節はいつしか夏本番に差しかかった…鬱陶しくも汗ばむ様な気候に、あたかも気まぐれの如き変わりやすい、重くどんよりと垂れ込めた曇天の梅雨空が顔を覗かせる6月へと変わりつつあります。

 コロナ禍による諸々の規制等が徐々に緩和され、ノーマスクに遠方への移動、海外渡航の往来の再開といった明るい兆しの朗報が続々と寄せられつつも、遠い海の向こう側の狂った独裁国家とそれに同調する親交国家のタダナラヌ情勢と動向に未だ不安と憂いは隠せません。
 それでも季節の移り変わりと共に、真実と信念に向かって人は前向きに歩み続けて行かねばならない、そんなポジティヴな気持ちへと変わりながらも、日に々々落ち着きと平静を取り戻しつつあります。

 今回の『夢幻の楽師達』は、あたかもそんな迷いや暗雲すらも拭い去ってしまうかの様なイマジネーションに加え、クリーンでネイチャーな悠久の大らかさと聡明な爽快感を伴った、純粋無垢で且つまさしく北米大陸のヨーロッパという名に相応しい、インテリジェントでアグレッシヴなカナディアン・プログレッシヴシーンから、大御所イエス影響下の最右翼にして…アメリカのスターキャッスル、アルゼンチンのエスピリトゥと並ぶ秀逸なる存在であると共に、70年代カナディアン・プログレッシヴ栄光の一時代を彗星の如く駆け巡っていった唯一無比の孤高なる存在として、今なお高い認知度と根強い人気を誇る名匠“モールス・コード”に、今一度栄光の輝きとスポットライトを当ててみたいと思います。

MORSE CODE
(CANADA 1971~1978)
  
  Christian Simard:Vo, Key
  Daniel Lemay:G, Flute, Vo
  Michel Vallée:B, Vo
  Raymond Roy:Ds, Per

 60年代半ばから世界的規模な人気と話題性で席巻してきたビートルズ・ムーヴメントの波及は、御他聞に漏れず北米大陸のヨーロッパと呼ばれたカナダでも大々的に浸透していたのは言うに及ぶまい。
 同じ北米大陸でありながらもカナダは位置的にもほぼヨーロッパ圏に近接しているからか、アメリカのポピュラーカルチャーとは趣や志向が異なり、殊更英語圏とフランス語圏のバイリンガリズム・多文化主義で構成されたお国の事情を背景に、カナダ国内にて圧倒的なフランス語圏でもあるケベック州をメインにブリティッシュ系とユーロピアン系の作風がもてはやされ、ショービズ大国アメリカとは真逆な独自のミュージックシーンが形成されていったのは極々自然の成り行きといったところであろうか。
 60年代後期から70年代初頭にかけて、ブリティッシュスタイルの流入でサイケデリック、アートロックの系譜を汲んだエッセンスに、カナディアンなロック&ポップスとフォークが融合したスタイルとスタンスが確立されつつあった当時、今回本篇の主人公でもあるモールス・コードもそんなさ中に躍り出た、後々のカナディアン・プログレッシヴ黎明期へと繋がる寵児にして立役者を担ったと言っても過言ではあるまい。

 70年代初頭、モールス・コードの母体ともなったLES MAITRESなるバンドからルーツは遡る…。
 ベーシストMichel ValléeとドラマーのRaymond Roy、そしてキーボーダーのChristian Simardをメインに、結成当初はビートルズを中心としたカヴァーを始め、彼等自身のオリジナルナンバーを多数書き貯めて、ケベック州内のホテルやクラブを中心にギグを積み重ね、地道で堅実な音楽活動が実を結びその甲斐あってか大手で天下に名高い (悪名高い) RCAのフロントマンに見い出された彼等は、程無くして契約を交わしプロとしてのキャリアをスタートさせLES MAITRES名義で3枚のシングルをリリースするものの、RCAサイドの意向によってアメリカマーケット市場受けを狙ってLES MAITRESからモールス・コード・トランスミッションへと大々的に改名。
 1971年改名した自らのバンドネームを冠したデヴューアルバムをリリースし、ビートルズ影響下ばりのサイケデリック、アートロック、ヘヴィロック、トラディッショナルといった多種多様なサウンドスタイルがぎっしりと詰め込まれ、ストリングスにホーンセクションをバックに配し英語による歌詞で歌われた、まさに時代相応を汲んだポップスな好作品として幸先の良いスタートを切る事となる。
 但しプログレッシヴの端緒に繋がるとはいえ、後年の黄金時代とは比べ物にならない位にサイケでポップな作風であるが故、好みの差異や評価が分かれる作品である事も踏まえなければならないが (苦笑)。
    
 デヴュー作の成功を皮切りに、彼等は以前にも増して精力的にギグに勤しむ様になり、デヴューの追い風をステップアップに、更なるサウンド面での強化を図る事となるが、次回作の製作に入ろうとした矢先に初代ギタリストのJocelyn Julienが音楽性の食い違いで抜ける事となり、バンドは新たな後任ギタリストとしてBernie Tapinを迎えることとなる。
 時代に沿ったサイケ・ポップな路線から更なる躍進の一歩を見据え (脱却を図ったと言った方がむしろ正しいのかもしれないが) 、翌1972年前作以上にオルガンをフィーチャリングしたヘヴィロック路線を前面に押し出した2枚組というヴォリューム感満載の2nd『Morse Code Transmission Ⅱ』をリリース。
 ヴォリューム感の充実さも然る事ながら、同国のフランク・マリノ&マホガニー・ラッシュ、果てはイギリスのアトミック・ルースター、ドイツのフランピーばりのアグレッシヴ且つヘヴィ&ブルーズィーでプログレッシヴな作風は、彼等自身が模索し切り拓いた独自の歩みに開眼したターニングポイントとなったと言っても異論はあるまい。
    
 自我の覚醒とも言わんばかりな2ndを契機に、更なる貪欲さの加速に増して自らの探求心に火が点いた彼等はイエス、クリムゾンといったブリティッシュ・プログレッシヴ界の大御所から触発され、大々的にプログレッシヴなサウンドスタイルへの転換を図ろうと画策するも、これにはRCAサイドが難色を示しバンドと何度か意見のやり取りが交わされたものの、結局双方の路線の相違と互いの溝が埋まる事無く物別れに終わってしまい、熟考の末RCAから離れることを決意した彼等は、同時にまたしても音楽性の食い違いでバンドから離れたギタリストBernie Tapinの後釜として、アンディ・ラティマーばりにギターとフルートも兼ねるDaniel Lemayを迎えて、EMI傘下のキャピトルへと移籍し、バンドネーミングもモールス・コードと短く改名し、地元ケベック州出身をアピールすべくアルバムタイトルから歌詞に至るまで全てをフランス語に統一させる事となる。
 加えて当時の同期バンドでもあったマネイジュからのアドバイスやサジェッションも後々の活動に於いて大いなる助力になったそうな。
           
 こうして程無くしてプログレッシヴ路線へのシフトに乗り出し、キャピトルからの後押しの甲斐あってか3rd期のイエス風なサウンドを肉付けに再出発を図った、1975年リリースの通算3作目『La Marche Des Hommes』は、トランスミッション時代からのファンのみならずカナダ国内のプログレッシヴ・ファンからも絶賛され、ラッシュ、サーガ、FMといったカナディアン・プログレッシヴ史に残る名匠と共にその名を刻みつける事となる。
          
 ちなみにこの本3rdアルバムリリースに前後して、歌って踊れるナンバーも演ってみようと思い立った彼等が、4曲目に収録した「Cocktail」がカナダのみならずアメリカのディスコで頻繁にオンエア(!?)され、彼等の作品中でもちょっとしたヒット作として数えられているので付け加えさせて頂きたい。
 ちなみにリイシューCDでもボーナストラックで「Cocktail」のディスコ・ミックスヴァージョンが収録されているので御興味のある方は是非!
 再出発作となった『La Marche Des Hommes』は、カナダ国内の各方面から大絶賛され予想を遥かに上回る大ヒットとなり、実に40000枚強のセールスを記録し、幸先の良いリスタートを切った彼等は順風満帆な時代の追い風を受けて、76年トータルアルバム的な趣の4作目にして至高なる最高傑作『Procréation』、そしてプログレ停滞期が叫ばれていた77年のさ中に、プログレッシヴながらもポップなアプローチを試みた意欲的な好作品『Je Suis Le Temps』といった、俗に言うモールス・コード“プログレッシヴ時代”3部作をリリースし、こうして70年代後期から80年代への時代の変遷期と呼応するかの様に、自らが演るべき事創るべき事は全うしたと言わんばかり徐々に表舞台から遠ざかり、バンドの解体を決意した1978年、人知れず静かにモールス・コードはその自らのバンド生命に幕を下ろす事となる。
    

    

 モールス・コードがプログレッシヴ・シーンから勇退し、誰しもが記憶の片隅から彼等の存在が忘却の彼方へと消え去りつつあった5年後の1983年、ベーシストのMichel Valléeと3代目ギタリストDaniel Lemayの両名主導でキーボードとドラムを一新した限定(!?)再結成で『Code Breaker』がリリースされ (かのエイジアとのジョイントツアーにも同行したとのこと!) 、更に1994年にはキーボードのChristian Simardが復帰しMichelそしてDanielに加え新たなドラマーにキーボード奏者を加えたツインキーボードによる布陣で『D'un Autre Monde』をリリースするが、かつての黄金期とは異なった所謂時代相応の作風に終始しているとの事で、ここまで綴ると何だか些か寂しい感すら抱いてしまいたくもなるのが正直なところでもある…。
           
 ここまで駆け足ペースで彼等モールス・コードを綴ってきたが、彼等が再びシーンの表舞台から去って以降の21世紀のカナダのシーンに至っては、詩人ニール・パートの逝去を機に潔く解散したラッシュを除き、今なお地道で堅実なる活動を継続しているサーガに再結成復活を果たしたFMに追随するかの如く、現在進行形で活動中のレッド・サンドを始め、イエス影響下のミステリー、同じくイエス+GG影響下のドゥルク・ファーベン、そしてメロディック・シンフォの最右翼ともいえるヒュイスにモナーク・トレイル…etc、etcといった後進の精鋭達が、ワールドワイドを視野に入れた精力的な活動で犇めき合っている前途有望な様相を呈している今日である。
 そんな現在 (いま) を懸命に生き続け、21世紀カナディアン・プログレッシヴシーンの活性化へと繋げている次世代の活躍に、もしもかつてのモールス・コードの面々が再び触発され刺激を受けて再浮上する時がいつか訪れるのであれば、聴き手の心と胸に熱くさせる極上で至高なるシンフォニックの王道たるものを垣間見せ、若手世代にはまだまだ負けられないぜと言わんばかりな気概と決意を大いに期待したいところではあるが、果たして…?
 まさにこればかりは願望と理想論を語ったところで、結局は神のみぞ知るというところであろうか…。

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Monthly Prog Notes -May-

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 5月最後の「Monthly Prog Notes」をお届けします。

 初夏から本格的な夏本番へと、季節の移り変わりの早さに感慨深さと複雑な思いを抱くと共に、夏に相応しいプログレッシヴへの付き合い方に思案している今日この頃です (苦笑)。
 私自身も年齢が年齢であるが故、毎年の事とはいえ…だんだん夏の暑さに加えて鬱陶しくも汗ばむ夏の気候と、梅雨時特有の不快指数全開な狂おしい蒸し暑さに心身ともに辟易してしまい、プログレッシヴに接するのも億劫になってしまいそうな感すら覚えます。
 そんな本格的な夏への季節の変わり目に相応しく、今回はここ最近盛況著しく比例するかの如く気を吐き続け、コロナ禍なんぞものともせずに以前にも増して良質で高水準な作品を輩出している中南米と日本のシーンから、彗星の如く降臨し来るべき世代を担うであろう…期待の新鋭3アーティストがここに出揃いました。
 南米のヨーロッパことアルゼンチンから鳴り物入りでデヴューを飾った“メレット”は、各方面に於ける前評判の高さも然る事ながら、一朝一夕では決して為し得ないその秀でた音楽性とコンポーズ能力の高さに加え、傑出且つ突出したユーロロックイズムが色濃く反映された、海の向こうのイタリアン・ロックやスパニッシュ・ロックの持つ煌きと情熱、光る知性とリリシズムが縦横無尽に繰り広げられる要注目にして要必聴なる会心の本デヴュー作、まさしく絶対的な自信作と言っても過言では無い位のヴォリュームとテンションで聴き手に筆舌し難い感動と衝撃をもたらすことでしょう。
 日本からはここ数年関東圏のプログレッシヴ・シーンに於いて大きな話題性と注目を集めている、アウター・リミッツのギタリスト荒牧隆 (現 荒牧隆子) が心機一転、新たなマテリアルとして結成した通称あらんちゃんバンド(仮)こと“ACB (K)”が、ここに遂に満を持して待望のデヴューを飾る事となりました。
 些か俄か的な冗談っぽいネーミングでAKB的な英字省略ではあるものの、音楽性にあってはかつてのアウター・リミッツですらも遥かに上回るであろう、近年の那由他計画やイヴラークにも迫る硬派で重厚、深遠で荘厳なるヘヴィ・プログレッシヴ&シンフォニックが構築された、悶絶必至なる会心の入魂作となってます。
 中米メキシコからも先月紹介したアルテファクトロンと同様、昨今のメキシカン・プログレッシヴの活況著しい充実ぶりを物語るかの如くデヴューを飾った“エレクトロ・コンプルッシヴ・セラピー”に要注目。
 ラテンのパッションと佇まいを残しつつもメキシコ特有のヴィジュアルやイメージが稀薄で、むしろブリティッシュ系…或いはポーランド系ネオ・プログレッシヴの息吹きをも想起させる、冗長気味なメロディック・シンフォやらポストロックすらも凌駕し、エモーショナル&アンビエントで尚且つソリッド&ハードな曲展開、アグレッシヴ且つセンシティヴなサウンドストリームに新たなメキシカンシーンの風と潮流を感じずにはいられません。
 夏本番の熱気すらもクールダウンな爽快感へと転じさせる、インテリジェントで高潔な誇り高きプログレッシヴ・フィールドの現在 (いま) を闊歩する匠達が紡ぐ交響詩に、暫し時と現実から遊離して耳を傾けて頂けたら幸いです。

1.MERÈTCeremonias
  (from ARGENTINA)
  
 1.Leve/2.El Alquimista/3.Un Largo Camino A Fin De Mes/
 4.Podrás Ilorar/5.Plano Astral/6.Intro Ceremonias/
 7.Ceremonias/8.Levissimo

 エジプトの神殿というまさしく神々しくも一種近寄り難い…そんな深遠で荘厳たるイメージのフォトグラフを意匠に、各方面からの称賛と前評判も手伝って鳴り物入りで堂々たるデヴューを飾る事となった、早くも21世紀アルゼンティーナ・プログレッシヴ期待の新星にして次世代の担い手との呼び声が高いメレット2022年のデヴュー作が到着した。
 ツインギターにキーボード、ヴァイオリン、そしてリズム隊の6人編成による布陣で、アルゼンティーナ・プログレッシヴの伝統と王道を地で行きながらも、イタリアとスペイン由来のシンフォニックのエッセンスが加味された、70年代アルゼンチン特有の熱情と抒情、気概とアイデンティティーが時代と世紀を経てソフィスティケイトされ、幾分ソフトで軽快な…所謂良い意味で21世紀という時代相応のハートウォーミングで親近感すら抱かせる音楽性と作風が聴き手に心地良さと安堵感を与えてくれる事だろう。
 古今東西のプログレッシヴ史に於いてヴァイオリンをフィーチャリングしたバンドは数あれど、かのアルティ・エ・メスティエリ始めサグラド、果てはソルスティスやミダスに心惹かれる方ならきっと最良にして至高の贈り物であると断言出来よう。
 今デヴュー作リリース後、専任キーボーダーが抜けてしまいメンバーチェンジによって今後の展開や動向が注視されると共に、次回作でまたどんなアプローチや変化が訪れるのか興味深々でもあり期待感が高まりつつある。
          

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2.ACB(K)Siblings
  (from JAPAN)
  
 1.Tearing Apart/2.100+ Days/
 3.Siblings
  c.1C. Amphitheatrvm Flavivm
  c.5C. 事の語り事も此をば (This Is A Story Of A Love Affair How It Went)
  c.9C. Beachy Head
   20C. 高貴な人と輝ける名声 (Her Noble Nature And His Glorious Fame)
   21C. Alice, Bob And Charlie

 まるで打ち上げ花火の会場(!?)などといった冗談はさておき、摩訶不思議で意味深なモニュメントかオブジェ…あるいはストーンヘンジをも想起させる古代神殿の遺跡をも彷彿とさせるフォトジェニックな意匠に思わず目を奪われる。
 近年集散を繰り返してきた感すら抱かせる関東の雄アウター・リミッツから離れたギタリスト荒牧隆こと…現在荒牧隆子が、満を持しての心機一転自らが理想とする本当に演りたい音楽を志向(指向)し、試みの地平線を実践すべく関東圏の名立たるバンドメイトとゲストプレイヤーを招聘し、自らのニックネームを引用し些か冗談めいた様な…あたかも即席と思い付きで命名したかの様なあらんちゃんバンド(仮)としてそのまま名乗り続け、気が付いたらいつの間にかAKB的な横文字省略型でネーミングしたACB(K)として定着し、あれよあれよという間にデヴューアルバムへと上り詰めた奇跡と幸運の賜物そのもと言っても差し支えはあるまい。
 奇跡の賜物も然る事ながら、収録された全曲のどれもがヘヴィ・プログレッシヴ&シンフォニックな洪水が寄せては返すといった聴き処満載で無駄と冗長さが皆無な、名実共に完全無欠なハイクオリティーと完成度を誇る、ジャパニーズ・プログレッシヴの実力とプライドが曲の端々で燻し銀の如き光沢を放つ、時空と世紀をも超越した神話と伝承が渾然一体となった過去現在未来のベクトルが一気にシンフォニックワールドへと集約した、神々しくもヒューマンな温もりを感じさせる。
 これこそ21世紀版日本プログレッシヴの頂ともいえる純粋無垢にして高邁な意思の証でもあり形となった最高傑作の誕生を、今はただ心から瞼を熱くして祝福の言葉を贈りたい…本当にありがとう。
          

Facebook ACB(K)
https://www.facebook.com/ACBKjp

3.ELECTRO COMPULSIVE THERAPY
  /Electro Compulsive Therapy
  (from MEXICO)
  
 1.Glow/2.Colors Fade Away/3.Blackstar/
 4.Gemini/5.In Through The Light/6.Walking Ghost/
 7.Stop…Wait And Transcend/8.Supernova

 先月の冒頭で紹介した同国のアルテファクトロンとほぼ同時期にデヴューを飾り、そのあまりにブリティッシュナイズされたメロディック・シンフォなサウンドワークと作風で、瞬く間に注目を集める事となった、メキシカン・プログレッシヴ期待の新鋭エレクトロ・コンプルッシヴ・セラピー、本作品は2021年暮れにリリースされた記念すべきデヴュー作である。
 紅の血潮の如き生命力と自然との調和すらも想起させ、あたかもトワイライトの幻影すらも聴き手に抱かせるであろう…そんな鮮烈でインパクト大なイマージュとヴィジュアルにも違わぬ、もはやポッと出のネオ・プログレッシヴ云々やら思い込みだけの安直なポストロックすらも遥かに凌駕し、メロディック系でありながらも厳寒で冷徹な雰囲気のポーランド系にも相通ずる、良い意味でその中米らしからぬエモーショナルさとアンビエントな空気感に加えて、ギルモアばりの泣きのギターに、収録された全編英詞によるジェントリーで且つメランコリックな憂いを帯びたヴォーカリスト兼キーボードのスキルと歌唱力の高さ…等、メキシコ特有の熱気やアクの強さが殆どと言って良い位に稀薄で、あくまでブリティッシュナイズ指向のグローバルな視点で現世と対峙した、メキシカンシーンの次世代を背負って立つであろう先駆者としての揺るぎ無い決意と気概が漲っている秀逸なる一枚と言えるだろう。
          

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