幻想神秘音楽館

プログレッシヴ&ユーロ・ロックという名の夢幻の迷宮世界へようこそ…。暫し時を忘れ現実世界から離れて幻想と抒情の響宴をお楽しみ下さい。

Monthly Prog Notes -August-

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 8月の終盤、連日の残暑というにはあまりにも猛酷暑厳しいさ中、皆様如何お過ごしでしょうか…。

 コロナ禍真っ只中の2020年夏も残り僅か、暦の上では既に立秋を迎え季節の変わり目に伴い日に々々秋の気配が僅かながらも感じられる今日この頃、今月の「Monthly Prog Notes」はそんな初秋の訪れに相応しい力作・秀作揃いの素晴らしいラインナップが出揃いました。
 久々の南米ブラジルからは近年俄かに注目を集めつつ、かの御大サグラドの後継者へと繋がるであろう…そんな好評を博し名声を高めているクラシカル・シンフォニック・プロジェクトバンド“アルス・プロ・ヴィータ”2枚組の2nd新譜に要注目です。
 同時期に入荷した3年前のデヴュー作の素晴らしさも然る事ながら、戦争と平和という極めてアイロニカルな問題定義を孕んだ今作は、2時間20分強の収録時間とヴォリューム総じて一種のドキュメンタリーフィルムをも垣間見るかの様な美しくもシリアスで物悲しく、厳粛且つ神聖な調べは世代を越えた全てのプログレッシヴリスナーの胸と心を打つこと必至です。
 イギリスからもそのバンドネーミングに思わず興味がそそられるであろう、古色蒼然たるブリティッシュ・ロックの伝統と実力が窺い知れる期待の新鋭“スノーグース”のデヴュー作がお目見えです。
 大御所キャメル影響下は当たらずも遠からずながらも、70年代初期のイリュージョン=ルネッサンス、果てはペンタングルといったブリティッシュ・フォーキーな趣を湛えた、正真正銘な英国サウンドはヴィンテージ系云々といった概念をも越えた詩情と感動の結晶そのものです。
 アメリカからは、かのハッピー・ザ・マンないしディキシー・ドレッグスにも相通ずるシンフォニック・ジャズロックの王道を地で行くニューカマー“アイソバー”の堂々たるデヴュー作が到着しました。
 全編インストという曲構成でギター、ベース、キーボードのトリオに21世紀プログレッシヴ界最強の助っ人プレイヤーMattias Olssonをゲストドラマーに迎え、要所々々でホーンセクションを加えた硬派でインテリジェントな側面で抒情的なリリシズムが堪能出来る好作品に仕上がってます。
 待ちに待った「プログレッシヴの秋」到来を告げるであろう…至高なる匠達が謳い奏でる極上で豊潤な調べに、暫し晩夏の暑さを忘れて心穏やかに耳を傾けて頂けたら幸いです。

1.ARS PRO VITAPeace
  (from BRASIL)
  
 CD1:
 1.War Is Peace/2.Shut Up And Shout !!!/3.On Bibles And Cannons/
 4.The Yellow Cloud/5.A Handful Hope/6.Block 24, First Floor/
 7.The Mother Who Killed 150,000 Sons/8.Likasi/
 9.Sounds Of The Brave/10.Metus
 CD2:
 11.Decay/12.Curfew/13.Vital Signs/14.Children Of War/15.Mine/
 16.Drone/17.Hero/18.God Is Not Here Part I/19.Resolution 1004/
 20.White Helmets/21.God Is Not Here Part II/22.The March/
 23.P E A C E

 降り注ぐ放射能の黒い死の灰をバックに銃弾のシリアルナンバーを模した様な、何とも恐怖心を煽り立てる意味深なアートワークに言葉が出てこない…。
 2017年に奴隷の人生をテーマとしたコンセプトの衝撃的なデヴュー作『Minor』で、一躍21世紀ブラジリアン・シンフォニックシーンにて脚光を浴びる事となった要注目必至の新鋭アルス・プロ・ヴィータであるが、本作品は3年ぶりのリリースとなる文字通り2枚組というヴォリュームでトータル2時間20分超の大作も然る事ながら、作品全体の内容も「戦争と平和」「戦争の愚かさと醜さ」「戦争がもたらす狂気と混乱」といった、過去にイスラエルのツィンガーレ『Peace』やオランダのコーダ『What A Symphony』と並ぶであろう、モロに反戦主義を露にしたアイロニカルで陰鬱な重々しさに加えてインナーブックのフォトグラフを目にしただけで思わず目を覆いたくなる…そんな暗澹たるテーマながらもほんの僅かな一筋の希望の光をも見い出せる思いにも似た慈愛と救済の清い精神をも禁じ得ない。
 ハケット影響下のキーボード&ギターのみならずデヴュー以降のコンセプトデザインをも手掛けるVenegas兄弟を核に、元ルネッサンスのJon Camp始め同国のヴィトラルのメンバー、男女混成コーラス、ストリングオーケストラ等の多方面からの賛助を得て、シンフォニック、シリアス・ミュージック、ダークチェンバー、アヴァンギャルド、果てはウォール期のフロイドばりの効果音で織り成す、美しくも物悲しい厳粛で神聖なる旋律は決して齧り聴き厳禁な、まさしく人類史の暗部と闇を曝け出し混迷の21世紀という今日までに繋がる映し鏡の様に思えてならない。
 昨今のコロナ禍でブラジル国内を独裁者然とふるまうボルソナロ政権への当てつけというか皮肉とも取れるというのは些か考え過ぎであろうか。
 いずれにせよ本作品の根幹でもある“No More War”という気高い精神が際立っている事だけは紛れもあるまい…。
          

Facebook Ars Pro Vita
https://www.facebook.com/arsprovita

2.SNOWGOOSEThe Making Of You
  (from U.K)
  
 1.Everything/2.Who Will You Choose/3.Hope/
 4.The Making Of You/5.Counting Time/6.Goldenwing/
 7.Leonard/8.Deserted Forest/9.The Optimist/
 10.Undertow/11.Gave Up Without A Sound

 良い意味で如何にも手作り感満載なモノクロカラーに彩られた3面開き紙ジャケット仕様のデヴュー作を飾った21世紀ブリティッシュ期待の新星スノーグース
 そのバンドネーミングに思わず興味をそそられるリスナーも多い事だろうが、大御所キャメルからの影響は当たらずも遠からずといった感で、作品と音世界観の印象からして70年代初期のイリュージョンそしてルネッサンス、果てはブリティッシュ・フォーク界の大御所ペンタングルからの影響下が大いに窺い知れる。
 麗しき歌姫Anna SheardにギタリストJim Mccullochの両名を中心に、ギター、キーボード、リズム隊、ハーモニカ…等の多種多才なメンバーが結集し、まさしく絵に描いた様な英国ファンタジー、フェアリーテイル、マザーグースといったイマジナリー豊かな調べに、改めて70年代から脈々と受け継がれている正統派のブリティッシュ・ロック&フォークという伝統と根底の奥深さに感服する事しきりである。
 ヴィンテージ回帰スタイル云々といった理屈や概念を抜きに、世代を越えてプログレッシヴ・リスナー問わず万人に聴かれるべき良心的な音楽の理想形がここにあると言っても過言ではあるまい。
 ブリティッシュ愛溢れる素敵な一枚、是非とも貴方(貴女)のライヴラリーに加えて頂けたら幸いである。
          

Facebook Snowgoose
https://www.facebook.com/SnowgooseMusic

3.ISOBARIsobar
  (from U.S.A)
  
 1.Weekend Of Mammals/2.Control Mouse/
 3.Major Matt Mason/4.Off The A6/5.Dinky Planet/
 6.Mais Daze/7.New Math/8.79¢/
 9.Dinner Ain't Ready/10.Elves Are Go!/11.AP Alchemy/
 12.Uncanny, The/13.Isobars

 あたかも人の横顔を模した抽象画を連想させる摩訶不思議な意匠であるが、読んで字の如く気象予報で用いられる等圧線の意であるアイソバーの堂々たるデヴュー作がお目見えとなった。
 ベースのJim Andersonを筆頭にMalcolm Smith(G)、Marc Spooner(Key)によるトリオ編成に加えて、今やアングラガルドでの活動にとどまらず、世界を股に架けて21世紀プログレッシヴ業界最大最強の助っ人プレイヤーでドラマー兼マルチプレイヤーとして名高いMattias Olssonの助力を得て完成された本作品であるが、Mattiasの協力が功を奏しているからであろうか、これでもかという位に大々的にフィーチャリングされたメロトロンが何とも絶妙で、アメリカらしさと北欧互い違いのサウンドスタイルがミクスチャーされ程良い具合にハイブリッドされた、まさしく国境を越えた極上の共演が縦横無尽に繰り広げられている。
 大らかで開放的なイメージを抱かせる絵に描いた様なアメリカン・プログレッシヴの持ち味がオールインストながらも躍動感に溢れつつ収録された楽曲全体に彩りと煌きを与えており、さながら往年のハッピー・ザ・マンないしディキシー・ドレッグスの系譜をも彷彿とさせるテクニカルで且つエモーショナルなシンフォニック・ジャズロックが、21世紀という時代相応にアップ・トゥ・デイトされたと言えば御理解頂けるだろうか…。
 ゲスト参加しているトランペットやサックスが楽曲の要所々々にインパクトやアクセントを与え、メンバー間との相乗効果を見事に醸し出しており、その曲毎に様々な異なった印象をリスナーに想起させる現在進行形なアメリカン・プログレッシヴが垣間見える事だろう。
 Mattias Olssonの偉業と功績にまた新たなる一頁が付け加えられそうだ。
          

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