幻想神秘音楽館

プログレッシヴ&ユーロ・ロックという名の夢幻の迷宮世界へようこそ…。暫し時を忘れ現実世界から離れて幻想と抒情の響宴をお楽しみ下さい。

Monthly Prog Notes -September-

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 鬱陶しく暑苦しかった残暑が過ぎ、気が付けば日に々々秋風の肌寒さが感じられる様になった今日この頃ですが、皆様如何お過ごしでしょうか…。

 9月最後にお送りする「Monthly Prog Notes」は、まさしく芸術の秋…プログレッシヴの秋到来を告げるかの如く、選りすぐりの強力ラインナップ3アーティストが出揃いました。
 名実共に21世紀イタリアン・ロックの代表格と言っても過言では無い“ラ・マスケーラ・ディ・チェラ”、実に7年ぶり通算第6作目の新作は、従来通りの70年代イズムを継承した路線と作風で、かのオルメの『Felona E Sorona』やメタモルフォシの『Inferno』にも追随するかの様な…あたかも彼等自身デヴュー当初の気概と初心に立ち返ったかの様な、原点回帰を目論んだダークエナジー迸るヘヴィ・シンフォの醍醐味が徹頭徹尾存分に堪能出来る充実感溢れんばかりの快作(怪作)に仕上がってます。
 2016年に彗星の如くデヴューを飾って以降、年一作というハイペースで新作をリリースし、個人的には21世紀ブリティッシュ・シーンに於いて、アイ・アム・ザ・マニック・ホエールと並んで俄然精力的に気を吐き続けている名匠Tony Lowe率いる“ESPプロジェクト”4作目の新譜は、往年のブリティッシュ・プログレッシヴが内包していたジェントリーなリリシズムを踏襲した、決して安易にメロディック・シンフォに相容れる事無く、あくまで大英帝国の音らしいロマンティックで良質なポップス感覚のフィーリングがミクスチャーされた、まさしく時代感相応のシンフォニックに胸が熱くなる事必至です。
 久々のスペインからは、情熱溢れる正統派スパニッシュ・プログレッシヴでリスナーを魅了する期待の新星“クァマー”の堂々たるデヴュー作がお目見え。
 スペインの異国情緒溢れる雰囲気に加えて、ジャケットアート総じてアラビック&ミスティックな妖しい佇まいを纏いつつも、かつてのメズキータ、グラナダ、果てはカイやイセベルグといった、かつての70年代全盛期を彷彿とさせるアンダルシアの陽光と陰影のイメージが色濃く反映されたヴィンテージ・スパニッシュの底力が垣間見える秀作となってます。
 世界的規模に拡がったコロナ禍が収束する事無く、2020年も間もなくその一年が終わりを迎えつつある今秋、コロナに臆する事も屈する事も無く創作の大海に身を投じ絶え間無く挑戦し闘い続ける、熱き魂を抱いた渾身の楽聖達が奏で謳う凱歌に思う存分魂を震わせて下さい。

1.LA MASCHERA DI CERAS.E.I
  (from ITALY)
  
 1.Il Tempo Millenario
  i.L'Anima In Rovina/ii.Nuvole Gonfie/iii.La Mia Condanna/
  iv.Scparazione/v.Del Tempo Sprecato
 2.Il Cerchio del Comando
 3.Vacuo Senso
  i.Prologo/ii.Dialogo/iii.Nella Rete dell'Inganno/
  iv.Il Risueglio di S/v.Ascensione

 オルメの代表作にして傑作『Felona E Sorona』の続篇的解釈だった通算5作目『Le Porte Del Domani』から実に7年ぶり6作目の新譜を堂々と引っ提げて、コロナ禍という不安と混迷のさ中我々の前に再びその雄姿を現した21世紀イタリアン・ロックのパイオニア的存在ラ・マスケーラ・ディ・チェラ
 復帰までに至る長き7年間、新進の台頭始め世代交代やら70年代ベテラン勢の復活と新生…等といったイタリアン・プログレッシヴシーンを巡る大なり小なりの様変わりは否めない今日に於いて、新世代の先駆者的ポジションでもある彼等の復活劇はまさしく新鮮な驚きと共に、改めてネームヴァリューに頼らず音楽的経験とベテランだからこその自信と風格が如実に表れた、看板に偽り無しの期待通りに違わぬ素晴らしい快作であると断言出来よう。
 Fabio Zuffantiを筆頭に、結成当初からのオリジナルの面子Alessandro Corvaglia(Vo)、Agostino Macor(Key)の3人以外が一新され、ゲスト参加のドラマーとフルート兼サックス(デリリウムのMartin Grice !!)による布陣で臨んだ今作は、復帰に相応しくアップ・トゥ・デイトにシェイプアップされ幾分シンプルで聴き易くなりつつも、仄暗いダークエナジーを帯びたサウンドの重厚さと緻密な曲構成は健在で、さながらメタモルフォシの『Inferno』『Paradiso』に近い雰囲気を醸し出している。
 アートワーク総じて70年代イズムの精神が2020年という時代相応に見事転化したエポックメイキングであると共に、全3曲の収録時間も45分といった70年代のアナログ期を彷彿とさせるであろう彼等なりの徹底したこだわりすら垣間見えて、さながらデヴュー当時の気迫と熱気が再来した原点回帰に加え再度初心に立ち返り自己を見つめ直す決意表明すら窺い知れよう。
 ちなみに本作品タイトルS.E.Iの意は、Separazione(分離)/Egolatria(自我)/Inganno(欺瞞)の3つのキーワードで構成されたものである。
          

Facebook La Maschera Di Cera
https://www.facebook.com/mascheradicera

2.ESP PROJECTPhenomena
  (from U.K)
  
 1.First Flight/2.Before Saturn Turned Away/
 3.Telesthesia/4.Fear Of Flying/
 5.Living In The Sunrise/6.Sleeping Giants/
 7.Seven Billion Tiny Sparks

 2014年のブラム・ストーカー復活作『Cold Reading』に於いて、その一端を担った立役者として一躍その名が知られる事となったマルチプレイヤー兼コンポーザーTony Lowe。
 その2年後の2016年Tony主導によるESP名義によるデヴュー作を皮切りに、2018年ESP 2.0名義の2作目『22 Layers Of Sunlight』、翌2019年ESPプロジェクト名義による3作目『The Rising』を経て、同プロジェクト名義による2020年の最新4作目が今こうして届けられた次第である。
 Tony自身多大なる影響を受けたであろう中期ジェネシス…バンクス風のメロトロン系含むキーボードにハケットスタイルのギターワークといったサウンドバックボーンが余すところ無く存分に活かされた、エモーショナルでリリシズム溢れるブリティッシュ・シンフォニックが縦横無尽に展開され、さながら英国の黄昏時を思わせるイメージとヴィジュアルが脳裏を過ぎると表現するには些か言い過ぎであろうか(苦笑)。
 マルチプレイによる多重録音ながらも機械的な冷徹さは微塵にも感じられず、ハートフルな歌メロと温もりそしてバンドスタイルさながらの迫力と展開に、往年のかつての英国プログレッシヴをリスペクトしている彼の信条(身上)とプライドが、これでもかというくらい聴く者の胸を熱くする事だろう。
 真のプログレッシャーにして匠という名に恥じない秀逸で崇高なる一枚と言っても異論あるまい。
          

Facebook ESP Project
https://www.facebook.com/ESPProgProject

3.QAMARTodo Empieza Aquí
  (from SPAIN)
  
 1.Faraón/2.A Través Del Camino/3.Guadalete/
 4.Éxodo/5.Lydia/6.As Bruxas/7.Qamar/
 8.Añoranza

 何とも妖しげでミスティックな雰囲気すら漂う、久々に異国情緒香る往年のスパニッシュ・ロックの精神を受け継いだ期待の新鋭クァマーの、大仰な言い方で恐縮だが神憑りも似たデヴュー作がここに届けられた。
 アラビア語で月を意味するバンド名で、意匠自体も月=美神の持つ神秘性とイメージに加えてアラビックな趣がふんだんに表れており、見てくれ的には一瞬かのイタリアのセミラミス(失礼!!)をも連想したものの、セミラミスほど邪悪さや不気味さは皆無で、サウンド的なイメージでいえば同国のカイやイマン、イセベルグにも相通ずるヘヴィ&シンフォニックなジャズ・ロックを構築しており、かつてのスパニッシュ・ロックが持つフィーリング的に近しいところで、メズキータ、グラナダ、通好みならフォルマス、アストゥルコーン辺りが想起出来るだろうか…。
 メンバーのフォトグラフを拝見しても、私とほぼ同年代か或いはややちょっと上といった風貌で、それこそちょっとポッと出の若手と違い各人が長年様々な音楽経験を積んできた熟練者と見受けられ、演奏の技量からコンポーズ能力等に至るまで徹頭徹尾素人臭さが一切無い、スパニッシュの伝統と王道を脈々と継承したプロ意識の高さを物語る傑出した一枚に仕上がっている。
 ギター、キーボード、ベース、ドラムによる基本的な4人編成で全体の9割方がインストゥルメンタルで占められており、終盤近くで女性Vo入りのナンバーと曲によってはフルート、サックス、ヴァイオリン、フラメンコギターがゲスト参加しており、昨今のワールドワイドを意識した21世紀スパニッシュ系に於いて、あくまでも自国のスペインらしさとアイデンティティーが根付いた本来の持ち味を頑なに保持し続ける職人肌の“域”というか“粋”にも似通っている。
 嗚呼、やはりスパニッシュ・ロックとは本来こうでなければ…と思わせるくらいの情熱と哀愁がぎっしりと詰まったアンダルシアからの風の便りを、是非とも貴方(貴女)の耳で体感してほしい。
          

Facebook Qamar
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