幻想神秘音楽館

プログレッシヴ&ユーロ・ロックという名の夢幻の迷宮世界へようこそ…。暫し時を忘れ現実世界から離れて幻想と抒情の響宴をお楽しみ下さい。

Monthly Prog Notes -February-

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 2月終盤の「Monthly Prog Notes」をお届けします。

 今回お送りするラインナップは新たな2021年早々にリリースされた、新旧世代を問わずいずれもプログレッシヴを創造する匠ともいえる職人芸…或いはベテランの域(粋)をも感じさせる名うての実力派勢が出揃いました。
 イタリアからは2年前に劇的な復活劇を遂げた“チェレステ”が、全世界のファンの声援に応えるかの如く満を持してリリースした新譜を携えて再び私達の前に帰って参りました。
 デヴュー当時の音楽性が更に時代相応なハイブリッドな作風へ進化を遂げ、内省的且つ抒情と詩情溢れる物語が壮麗に紡がれていく様は、理屈と感動を超えた唯一無比な世界観に胸が熱くなること必至でしょう。
 アメリカからはイエスの2代目ベーシストにしてサーカのリーダーをも兼ねるBilly Sherwoodが手掛ける、新時代のマテリアルに相応しい要注目の“アーク・オブ・ライフ”のデヴューが堂々の登場です。
 イエスの音楽性にサーカのセンスがコンバインした、イエス・ファミリーツリーの一端でありながらも、チルドレンとかリスペクトといった概念をも覆すであろう、まさしく彼等にしか出来ないサウンドワークが展開されています。
 北欧デンマークを拠点に多国籍のミュージシャンが集結し、3年前かのフォーカスの再来ともいうべき衝撃と驚愕のデヴュー作で全世界から瞬く間に話題を呼び絶賛された“ティクセル”が、待望の2ndを引っ提げてシーンに再び凱旋となりました。
 メンバー以外にもフォーカス関連含め多数ものゲストプレイヤーが参加した、順風満帆な充実ぶりが窺える本作品、アートワーク総じて今月の台風の目となることでしょう。
 コロナ禍の収束に向けて一歩また一歩と着実に平穏への兆しを予感させる…そんな時節柄にも似通った、昨今の閉塞感をも打ち破るかの様な楽匠(楽聖)達が奏でる渾身の調べに心震わせ、思う存分感涙の目頭を熱くして頂けたらと思います…。

1.CELESTEIl Principe Del Regno Perduto
  (from ITALY)
  
 1.Baie Distanti/2.L'Ultimo Viaggio Del Principe/
 3.(Il)Ceruleo Sogno/4.Viola, Arancio E Topazio/
 5.Il Passaggio Di Un Gigante Gentile/6.Tornerai Tramonto/
 7.Nora

 一遍の小説の扉絵を思わせる様な意匠に包まれた、まさしく物語をそのまま純音楽へと転化した清廉潔白な無垢な魂と言っても過言では無いチェレステ2021年の本作品。
 昨年末辺りからリーダーCiro Perrinoサイドによるアナウンスメントで大きな話題と注目を集めていたが、2019年の復活作『Il Risveglio Del Principe』を皮切りに、未発アーカイヴ音源集『Flashes From Archives Of Oblivion』そして自身のソロマテリアル『Planets』までに至る様々な歩みこそが、傑作級となった今作へと繋がる重要なファクターであったと思えてならないのは、些か穿った見方であろうか。
 いずれにせよリーダーCiroの主導によるプロジェクトスタイルだった2年前の復活作から一転して、今回はしっかり結束したバンドスタイルへと移行し、デヴュー作でのエッセンスを内包し『Ⅱ』でのクロスオーヴァーな趣向すら垣間見えて、ある意味チェレステの音楽世界観が完全昇華したであろう意欲作に仕上がっている。
 肝心要なメロトロンを始めとするピアノ、ハモンド、モーグにアープ、そしてソリーナ系のストリングスキーボードといったヴィンテージ鍵盤群、アコギにエレクトリックギター、リズム隊、フルート並びサックス含む管楽器系、ヴァイオリン、初期ラッテ・エ・ミエーレを想起させるオペラチックな女性ヴォーカルに子供の語りが綴れ織りの如く盛り込まれ、決してテクニカルさを打ち出す事も無ければ爆発的に展開する事も皆無な、(良い意味で)内省的且つ淡々とした曲想メインながらも深く染み入る様に聴く者の脳裏に克明に刻まれ、筆舌し難い感動と余韻が浸透するのはもはや言うには及ぶまい。
 イタリア語のタイトルに付随して、日本そして韓国のイタリアン・ロックファンの為に御丁寧ながらも日本語とハングルによる表記が為されているのも嬉しい限りである。
 25分近い長尺な2曲目終盤に、デヴュー作冒頭で流れるメロトロンの感動的フレーズが再録され、ファンにとってはもう落涙必至といえよう。
 2021年プログレッシヴ・アワード上位候補に早くもノミネートされるべき、万人が愛して止まないプログレッシヴがここにはある…。
          

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2.ARC OF LIFEArc Of Life
  (from U.S.A)
  
 1.Life Has A Way/2.Talking With Siri/3.You Make It Real/
 4.Until Further Notice/5.The Magic Of It All/6.Just In Sight/
 7.I Want To Khow You Better/8.Locked Down/
 9.Therefore We Are/10.The End Game

 師匠にして恩師でもある故クリス・スクワイアの遺志を受け継ぎイエス2代目ベーシストを務めつつ、片やサーカのリーダーをも兼任するBilly Sherwood主導による新たなマテリアルとして始動した、イエス・ファミリーツリーの次なる一端をも担うであろうアーク・オブ・ライフ堂々たる2021年デヴュー作がここにお目見えとなった。
 イエスのエッセンスにサーカのセンスが見事にコンバインした、所謂アメリカン・スタイルなイエス・リスペクト系バンドと言うにはやや当たらずも遠からずといったところであろうか。
 イエスの『Heaven & Earth』に参加したヴォーカリストJon Davison、サーカのギタリストを務めたJimmy Haun、現イエスのツアーメンバーでもあるドラマーJay Schellen、そして近年のアメリカン・シンフォニックで俄然気を吐いているIN CONTINUUMからキーボーダーDave Kerznerを迎えた基本的な5人編成による、『90125』ないし『Open Your Eyes』期のイエスを彷彿とさせるモダンでタイトなサウンド・フィーリングが時折顔を覗かせつつも、Billy自身のコンポーズ能力とカラーが反映され、収録された楽曲のタイトルもテーマによって近年のテクノロジー関連並び時事や世相を表したキーワードが散見出来て実に興味深い。
 前述したイエス・ファミリー系列ながらも、敢えてイエスの庇護やら傘下から大なり小なりの脱却をも試みている雰囲気が感じられるのは私だけだろうか。
 美麗なアートワークの素晴らしさに相反して、過去のイエス関連の大作主義とは完全に一線を画したコンパクトで重厚なシンフォニーに隔世の感をも抱いてしまうのは、私自身がその分歳を取った証拠だろうか(苦笑)。
          

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https://www.facebook.com/ArcOfLifeRockBand

3.TEXELMetropolitan
  (from DENMARK)
  
 1.Ludo Mentis/2.Metropolitan/3.Syncopia/
 4.Sweynsson's Slumber/5.Voluspa/
 6.Polka Magyar Akta Mùsicâ/7.Metamorphoses/
 8.Tuileries/9.Flute In Rhapsody/10.Texel/
 11.Nocturne Epiphanie (Bonus Track)

 遡る事3年前…そのあまりに70年代フォーカスを意識し過ぎて激似した音楽性と作風の衝撃的デヴュー作に、全世界中の新旧世代を問わない老若男女のフォーカス愛好者やフリーク達が度肝を抜き言葉を失った事だろうか。
 北欧デンマークを拠点に、自他ともに認めるであろうフォーカスを長年愛して止まない多国籍のミュージシャン達がこぞって集結したティクセルが、2021年遂に沈黙を破り満を持して待望の新作2ndを引っ提げてシーンに再び降臨した。
 いやはやもう冒頭1曲目からかつての名曲「Harem Scarem」をモロに意識し過ぎたカッコ良さに加え、テクニカルなハモンドとロックにロールした泣きのギターが畳み掛けてくる様に、私を含めリスナーの誰しもが手に汗握り感動と興奮に脳内のテンションが高揚してしまうのは最早いた仕方あるまい。
 ロック始めクラシック、ジャズ、ポップスとが渾然一体となった全曲どれを取っても無駄な捨て曲が一切微塵も感じられず、もう兎にも角にも徹頭徹尾フォーカス愛とヴィンテージ&リスペクトで埋め尽くされた、唯一無比で完全無欠な決定打にして秀逸な一枚と成り得るであろう。
 バンドの中心核でもあるギタリストのNeil GowlandとキーボーダーのSteffen Staugaardの両名を筆頭にリズム隊とフルート奏者を含めた5人編成であるが、今作ではフォーカスの9作目『Focus 9 / New Skin』にて一時期在籍していたギタリストNiels Van Der Steenhovenが2曲参加しており、他にもMarco Minnemann、唯一ヴォーカル入りの5曲目ではキャメルのPeter Jonesがヴォーカルを担当し、果ては日本のキクラテメンシスより鈴木和美嬢がフルートで参加しているのが何とも誇らしく思えてならない。
 前デヴュー作ではチープ感ありげな、壊れたロボット的な蛇女メデューサの頭部のみというアートワークが印象的であったが、本作品では『攻殻機動隊』或いは『銃夢』を思わせるジャパニメーション風劇画タッチなボディアーマースーツを装着したメデューサが描かれており、今更ながらも日本のアニメーションや漫画文化が欧米に及ぼした影響の大きさに感慨深くなることしきりである。
          

Facebook Texel
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