Monthly Prog Notes -April-
GW真っ只中の日曜日…4月最後の「Monthly Prog Notes」をお届けします。
風薫る5月目前の初夏を彩るに相応しい、まさしく現在進行形型の21世紀プログレッシヴを物語るであろう強力3バンドのラインナップが出揃いました。
日本からは4年前関西のプログレッシヴ・シーンから彗星の如く降臨し、その余りに新人離れしたベテランの域をも感じさせるサウンドワークとコンポーズ能力、プログレッシヴ・スキルの高さで瞬く間に大きな話題を呼んだ“アイヴォリー・タワー”が、前デヴュー作を遥かに上回るシンフォニック・ストーリーを綴った新譜2ndを引っ提げて再び私達の前に帰って来ました。
ジェネシス始めクリムゾン、イエス、果てはラッシュからの多大なる影響を窺わせる壮大なリリシズムを湛えた彼等独特の世界観は今作でも健在、まさしく必聴必至の至高なる一枚と言えるでしょう。
ドイツからはジェネシス始めIQ影響下を感じさせるであろう、3年前の鮮烈なるデヴュー作が全世界で大いに好評を博した“ダウネーション”が、更なる向上心とメッセージ性を携えつつ混迷の世に問いかける新譜2ndをリリースし、再び雄々しき姿で私達の前に戻って来ました
コロナ禍、ウクライナ情勢といった暗澹たるテーマ性をも孕みつつも、スタイリッシュでキャッチーなメロディーラインに乗せたアグレッシヴ且つセンシティヴな世界観に、聴く者の誰しもが皆心打たれる事でしょう。
東欧ポーランドからは、久々の期待の新星として俄然注目を集めている“スカーレス”待望のデヴュー作が満を持しての到着と相成りました。
女性ヴォーカリストによる母国語の歌詞を全面的に押し出した歌唱力も然ることながら、マリリオン影響下のポリッシュ・メロディックシンフォの王道を地で行く、油彩で描かれた黄昏時の街並みのアートワークをそのまま音にしたかの如き、東欧らしいメランコリックさとエキゾティックさが哀愁を誘うことでしょう。
色鮮やかな新緑の香りと爽風…そんな再び巡って来た初夏の訪れを心と肌で感じつつ、楽師達が謳い奏でる深遠且つ荘厳な、束の間の白昼夢にも似たハーモニーを暫し御堪能頂けたら幸いです。
1.IVORY TOWER/Traveling
(from JAPAN)


1.月夜のサハラ~旅の始まり/2.Stonehenge/
3.Autobahn/4.不思議の国のアリスたち/5.王子ミノタウロス/
6.組曲「月の海」/
Part 1. 地球脱出~月の宮殿
Part 2. 再び地球へ
Part 3. 1968年のかぐや姫
7.シャルル・ド・ゴール空港~旅の終着
何年か前のこと…NHKの某パフォーマンス・コンテスト番組にてプログレッシヴ・ロックの部門で優勝を飾って以降、度重なるギグと音楽経験を積み重ね、2019年に待望のデヴュー作『The Earth』で一躍脚光を浴びる事となった、関西プログレッシヴの新鋭アイヴォリー・タワー。
その後のコロナ禍でソーシャルディスタンスが叫ばれているさ中に於いても、創作意欲が停滞・弛緩する事無く、常に前向きに世界と向かい合ってきたであろう彼等の待望の新譜2ndを今こうして何度も繰り返し耳にする度、夢と希望を叶え続けてきた有言実行の如き真摯な姿勢に対し、長年彼等を見守り続けてきた私自身ですらも感慨深くもなり目頭が熱くなる思いである。
ジェネシス始めクリムゾン、イエス、ラッシュといったプログレッシヴ界の大御所への畏敬の念がひしひしと感じられつつも、リスペクト云々といった安易な表現すらも超越した彼等のひたむきな信念が凝縮された会心の一作ここにありと言わんばかりである。
全曲とも甲乙付け難い出来栄えを誇っており、演奏力の上手さも然る事ながら、コンポーズ能力からプログレッシヴなスキルの高さ、何よりもヴォーカリストLayla♪の力量には只々驚かされるばかりである。
ドライヴィング感覚な3曲目、夢見がちな今ドキ少女には是非とも聴いて欲しい意味深な4曲目、トータル12分超の圧倒的な大作の6曲目…etc、etc、徹頭徹尾聴き処満載な珠玉にして至高の一枚を是非貴方(貴女)のライヴラリーに加えて頂けたらと思う。
結論からして音楽とはまさしく旅そのもの、この一語に尽きる。
Facebook Ivory Tower
2.DAWNATION/..Well For The Past
(from GERMANY)


1.Rise/2.Holes/3.Twisted/4.Between/
5.Worthless/6.Deception/7.Time/8.Fly/
9.Fall
かのIQのデヴュー作をも彷彿とさせるアートワークで3年前にセンセーショナルなデヴューを飾った、21世紀ジャーマン・プログレッシヴシーンきっての実力派と言っても過言では無いダウネーション、今作の新譜2ndは満を持しての入魂作となった感を窺わせる、文字通り昨今の混迷の世に問いかけると言わんばかりなメッセージ性と問題定義を孕んだ、アートワーク総じて陰鬱で意味深なテーマ…コロナ禍に於けるパンデミック、ロックダウン、果ては未だ終結の見込みが望むべくもないウクライナ情勢にまで言及した、孤立…虚無…精神の不安定、希望への希求といった主題が盛り込まれ、あたかも世界愛と人間賛歌の如く高らかに歌われている。
ジェネシスをルーツにIQ、果てはフロイド的なアプローチすら垣間見せるサウンドワークとメロディーラインも然る事ながら、時にスタイリッシュでキャッチー、時にハートウォームでハードな側面すらも覗かせる、この手の作品やテーマともなると暗く深く沈みがちな楽曲に陥りやすいものであるが、彼等は敢えて真逆な作風を指向し、さながら外に向けられた世界観…白日の許に晒すかの如く開放的なアプローチで世界と対峙しているのかもいれない。
もはや齧り聴き厳禁な域へと達した極みにも似通った、これぞ渾身の一作と言わんばかりな気概が伝わってくる。
Facebook Dawnation
3.SCARLESS/Czekajac…
(from POLAND)


1.Niepelnione Sny/2.Do Cieble/3.Czarna Góra/
4.Maskarada/5.Slońce Znów Wschodzi
油彩で描かれた黄昏時の都会の喧騒…或いは夜景の幻想をそのまま音で表したと言っても過言では無い、東欧ポーランドから彗星の如く現れた期待の新星スカーレス、今作は2023年のデヴュー作に当たるもので、彼等もまた21世紀ポリッシュ・メロディックシンフォ系に位置するバンドであるが、今までの内省的で陰に籠もったかの様なポーランド・シンフォ系の類とは一線を画した、結成当初から外界に広く視野を向けたであろう、ロック本来の醍醐味を体現するかの様なサウンドワークとキャッチーなメロディーラインを意識しているかの様ですらある。
女性ヴォーカルをメインフロントに、ギター、キーボード、リズム隊の基本的な5ピースでマリリオンからの多大なる影響下を窺わせつつ、ポーランド語で歌われる東欧らしいエキゾティックさとメランコリックな佇まいが彼等の身上と言えるのだろう。
彼等もまた21世紀プログレッシヴに類するポジションではあるが、どことなく懐かしくもノスタルジックなヴィンテージ感が見え隠れしており、心血の通ったドラマティックでリリシズムな表現力 (特にギタリストとキーボーダーの演奏力量は要注視せねばなるまい) をも兼ね備えている点に於いても大いに好評価出来よう。
いずれにせよ、これを機に彼等を含め改めて今後のポーランドのシーンにも随時着目せねばなるまい…。
Facebook Scarless
スポンサーサイト