Monthly Prog Notes -August-
FC2へブログシステムを移行して以来…装いも新たに再出発となった8月最後の「Monthly Prog Notes」をお届けします。
新装開店並び夏から秋への季節の移り変わりと、まさしくプログレッシヴの秋到来に相応しい素晴らしいラインナップが出揃いました。
活況著しいイタリアからは、かの本家ラッテ・エ・ミエーレの系譜と流れを受け継いだ、名作3rd『Aquile E Scoiattoli』に参加していたMassimo GoriとLuciano Poltiniがメインとなった新バンド“ラッテ・ミエーレ2.0”が堂々たるデヴューを飾りました。
もう一つのラッテ・エ・ミエーレでもあり別動隊的な見方と多々ありますが、伝説的ヴァイオリニストの名匠ニコロ・パガニーニの生涯を奏でるアカデミックにしてシンフォニック・ロックの王道を邁進するその作風は、決して本家に負けずとも劣らないイタリアン・ロックの醍醐味とリリシズムが存分に堪能出来る事でしょう。
イギリス期待の新鋭にして、往年のブリティッシュ・ロックが持っていた伝統と王道の後継者であると言っても過言で無い“ケンティッシュ・スパイラス”が昨年に引き続き待望の2nd新作を引っ提げて再び帰って来ました。
キャラヴァン、マッチング・モールから多大なる影響を受けた新世代カンタベリーサウンドの中にも70年代ブリティッシュの空気と気概を感じさせる彼等ならではの作風は今作でも健在です。
アメリカからは久々に骨のある期待の新星登場となった…イエス、ジェネシス、GGからの影響を窺わせ、バンドネーミングとファンタジックなアートワークからして思いっきりプログレッシヴな“ムーン・レターズ”のデヴュー作が到着しました。
アメリカンなプログレッシヴながらもユーロロックなフィーリングとセンスすら感じさせ、決して一朝一夕ではない創作活動への真摯に向かい合ったプロフェッショナルな仕事っぷりには感服する事でしょう。
涼やかな秋風と虫の音と共に晩夏を名残惜しみつつ、抒情的な月光の夜空の下で心の琴線を揺り動かす楽師達の調べに暫し身を委ねてみて下さい…。
1.LATTE MIELE 2.0/Paganini Experience
(from ITALY)


1.Inno/2.Via Del Colle/3.L'Ora Delle Tenebre/
4.Cantabile 2019/5.Porto Di Notte/
6.Charlotte/7.Danza Di Luce/8.Angel/
9.Cantabile 1835
実質上オリジナル本隊のラッテ・エ・ミエーレから、その系譜とDNAを受け継いだもう一つのラッテ・エ・ミエーレと言っても過言では無い、かつての3rdアルバム『Aquile E Scoiattoli』に参加していたMassimo GoriとLuciano Poltiniの両名を中心とした新バンドでもあるラッテ・ミエーレ2.0その堂々たるデヴュー作が遂にお目見えとなった。
タイトル通り読んで字の如し、伝説的ヴァイオリニストの名匠ニコロ・パガニーニの生涯をテーマとしたコンセプト作品となっており、メンバーでもある紅一点の女性ヴァイオリニストが奏でる優雅で且つ悲愴感漂うヴァイオリンが非常に効果的で、彼等の構築する音世界に深い奥行きと情感を与えているのが特色である。
ニュー・トロルスばりのクラシカル・シンフォニックの絢爛豪華さに、本家ラッテ・エ・ミエーレ譲りのダイナミズムと荘厳さが見事に融合し、紛れも無く70年代イタリアン・ロックで培われた経験と実績が本作品で見事に開花した、名実共に新旧のファンをも唸らせる傑出した一枚と言えるだろう。
冒頭1曲目から“The Endless Enigma”の一節が流れたりとエマーソン愛全開なLuciano Poltiniの
70年代ハモンドやらシンセの音色を活かしたキーボードプレイに思わず(良い意味で)感情が高ぶってしまうのはいた仕方あるまい。
私の『幻想神秘音楽館』で過去に何度も繰り返し述べてきた事だが、長年プログレッシヴ・ロックを愛し続けるファンで良かったと思えると共に、奇跡は本当にあるものだと声を大にして言いたくなる位…先のバンコの完全復活作『Transiberiana』と並び、本作品もまた21世紀イタリアン・ロックの名盤となるだろう。
Facebook Lattemiele 2.0
2.THE KENTISH SPIRES/Sprezzatura
(from U.K)


1.Knots
(ⅰ:Overture/ⅱ:A Sea Shanty/ⅲ:Don't Shoot The Albatross)
2.Horsa From Beyond The Grave
3.Tale Of Three Lovers
(ⅰ:Wishing Well/ⅱ:You Better Shut Your Mouth/ⅲ:Never Tell On You)
4.The Long Goodbye
昨年秋にドラマティック且つファンタジックな意匠で鮮烈なデヴューを飾った21世紀ブリティッシュ・ロック期待の新鋭ケンティッシュ・スパイラス。
あれから半年以上のスパンを経て、前デヴュー作の流れとロマンティシズムを汲んだ意匠と共に
待望の新譜2ndを携えて、あたかも私達のラヴコールに呼応するかの如く再び帰って来た次第である。
大英帝国のリリシズムと、広大で自然豊かな味わい深い佇まいを具現化したかの如きアートワークの素晴らしさも然る事ながら、ジャケットのモデルを務めている紅一点の歌姫Lucieの繊細ながらも力強い歌唱力、ヴィンテージな感触のハモンドの響き、70年代イズムを踏襲したギターにリズム隊(ドラマーがメンバーチェンジしている)、そして今作から新加入した管楽器奏者の好演も相まって、シンフォニック、フォーク、ケルト、カンタベリー等といった多彩(多才)な楽曲の素養を内包した世界観が寄せては返す波の様に聴き手の脳裏に畳みかける様は、何物にも変え難い官能的で扇情的な女性の内面にも似た美意識すらも窺い知れよう。
昨今のメロディック・シンフォやネオ・プログレッシヴといった時流のトレンドとは一切無縁で且つ、同国のヴィンテージ系プログレッシヴのプルソンと対を為す傍ら、サイケデリアとは一線を画したひと味もふた味も違うあくまで純粋にブリティッシュの伝統と王道を歩む彼等に、大御所グリフォンにも似た吟遊詩人の様な面影すらも禁じ得ない。
Facebook The Kentish Spires
3.MOON LETTERS/Until They Feel The Sun
(from U.S.A)


1.Skara Brae/2.On The Shoreline/3.What Is Your Country/
4.Beware The Finman/5.Those Dark Eyes/6.Sea Battle/
7.The Tarnalin/8.It's All Around You/9.The Red Knight/
10.Sunset Of Man
21世紀アメリカン・シンフォニックから久々に熱い手応えを感じさせる骨太級のニューカマーが登場した。
ジェネシス始めイエス、GG、果てはラッシュといったプログレッシヴ界の大御所から多大なる影響を受けた…そんなバックボーンを如実に物語る期待の新星ムーン・レターズのデヴュー作が届けられた。
ネオ・プログレッシヴなカテゴリーといった風合いこそ否めないものの、要所々々で感じさせる変拍子を多用したプログレッシヴの王道+ヴィンテージスタイルへの憧憬とオマージュに加えて、アメリカンとユーロロックとのフィーリングが見事にマッチした、熱気の中で感じられるクールでインテリジェントな知性が鏤められた全曲に好感を抱かせる。
ジェネシス系バンドという精神を受け継ぎながらも、決して二番煎じやら亜流もどきには寄り掛からない、そんなしたたかで新人らしからぬ確固たる姿勢というか心憎さやポリシーも彼等ならではの持ち味と言えるだろう。
アートワーク総じて丁寧に作り込まれた充実感溢れる一枚であると共に、一朝一夕では決して為し得ないであろう彼等自身のプロデュースとコンポーズ能力、スキルの高さに感服の思いですらある。
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